2010年05月09日

カタログ・レゾネについて

天野先生には当然、かなり多くの作品が存在しますが。
その中でも版画作品についてはレゾネが存在します。

【レゾネとは】
ある作家の作品について、技法や年代別に整理されて(番号などをふります)整理された目録です。カタログ・レゾネと呼ばれます。
作家がなくなった後に研究者が長い年月をかけて編集するような事が多いです。

天野先生のレゾネはこちらです。
天野喜孝全版画集
天野喜孝全版画集


こちらを見ると、2002年までに先生が制作された版画が網羅されており、ファンとしては是非1冊持っておきたい本ではないでしょうか。

ただ残念な事に、2002年以降の作品はまだ整理されていません。
今までは、ある作家についてレゾネを編集するというのは、大変な労力を要するものでした。
当然編集者としてはできる限り全作品をまとめたい所ではあるのですが、それには時間も費用も要しますし、その結果レゾネは大変高価になってしまう事もあります。その上、レゾネというのはそれほど多くの部数が発行されるわけでもなく、故人のレゾネを見るには図書館などを利用する必要があったりします。

今後はネットも充実してきていますし、編集方法についても研究者や公式な立場の方だけが編集するのではなく、wikipediaのようなあり方があっても良いのではないかと管理人個人は考えていたりします。

天野先生だけでなく、いろんな作家のレゾネを眺めるのは面白いものです。
画風だけでなく、サインや落款などの変遷も見る事ができ、より作品を身近に感じる事ができます。

今後もますます精力的に活躍するであろう天野先生ですが、もし版画に限らず、限りなくすべての作品を網羅したレゾネを作ろうとしたら、相当な労力が必要になる事でしょうね。

khirakaw at 23:42|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!

2010年05月03日

天野喜孝作品の購入1(リトグラフ編)

今回は、天野喜孝ファンならば憧れる人も多いと思われる「作品の購入と所有」について、僭越ながらその方法や注意点等をご紹介しようと思います。
今回はその中でも、リトグラフについてご紹介します。

リトグラフは最近あまり制作される事が少ないようですが、1990年代前半より天野先生が積極的に取り組まれた版画です。
天野先生の制作されたリトグラフには、原画という概念がない往来通りの版画としてのリトグラフと、原画が存在し、そこからデジタル処理で版を作成して擦り上げる版画の2種類が存在します。

ここでまず購入にあたってご理解をして頂いきたい点があります。
一般に美術市場で「版画」と呼ばれて価値があるとされているものは、前者の原画が存在しない版画になります。これは特に「オリジナル版画」と呼ばれており、直筆の原画と変わらない価値・評価を持つものとされています。
これは作家による表現技法の1つですので、例えば「鉛筆で描く」「油絵の具で描く」のと同じように、「版画という技法で何かをえがく」という作家の目的があるならば、その美術的価値は決して1点物の直筆画に劣るものではないとご理解頂けるかと思います。

天野喜孝リトグラフ「聖夜」
天野喜孝リトグラフ「聖夜」
天野作品の中では、フランスのマーグ工房で制作された作品群が代表的です。
天野作品のマーグ工房を見てみると、繊細な線で描かれたモチーフに、かなり大胆な筆遣いで塗られたような作品が多く見られます。柔と剛の融合とでも申しましょうか。そしてどこか退廃的で、まるでどこかに漂うような危うげな美的存在が絵の中で舞うような、独特の世界観があります。
マーグの作品には、マーグ工房独特の空気があるように感じます。部屋に飾るだけでふっと空気がかわり、やや控えめながらも「我そこにあり」という立派な存在感があります。

手に入れる機会の多くはオークションや画廊での購入になるかと思いますが、是非ファンの方には手に入れて頂いて作品のオーラを感じて頂きたいとお勧めできる作品です。

では後者や、それ以外の「原画」が存在した上で版画も存在する作品はどういうものでしょうか。
一般には下書きではい原画が存在し、そこから版をおこして制作された版画は「複製版画」「エスタンプ」と呼ばれます。またこれも一般論ですが、そういった版画は美術的評価も金銭的評価も共に低い傾向があります。
天野先生の版画作品の多くは、実はこの複製版画に該当する作品です。
しかしながら、私はこれらの作品が粗悪であったり価値がないものであるとは考えていません。
後述しますが、あくまで複製版画は複製版画としての価値や良さがあり、また作品1つ1つについても善し悪しがあるものです。オリジナル版画だから良い・複製版画だから悪いといった二元論で片付けられるような問題ではありません。

天野喜孝リトグラフ「街」
天野喜孝リトグラフ「街」
1994年から、多くのリトグラフが制作されました。リトグラフだけでなく後述しますシルクスクリーンやシバクローム等も制作されましたが、ことリトグラフに関しての作品群はそれぞれ非常に高い完成度と、天野作品としての品質・品格を一定のレベルでは備えていると管理人Kenjiroは感じています。
例えば掲載しました天野喜孝リトグラフ「街」等がそうです。リトグラフの特徴である版による色の重なりにより、荒廃した街や無機質な機械とそれに乗る少女に直筆とはまた違った独特の立体感・存在感が表現されています。

リトグラフは、天野作品の中でもとくに先生の画力を感じる事ができる優れた作品であり、また比較的安価に手元に置く事ができるという非常に魅力的な作品であるとお勧めします。
天野喜孝『紅笑』リトグラフ
天野喜孝『紅笑』リトグラフ





khirakaw at 03:52|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!作品情報 

2010年04月02日

アートフェア東京2010

アートフェア東京というイベントをご存じでしょうか。

アートフェア東京とは・・・
21世紀になり、アートの見本市であるアートフェアが世界各地で開かれている状況をみて、アートファンや美術関係者・コレクターから日本での本格的なアートフェアの開催が望まれていました。そんな中、2005年の夏にジャンルを超えた多くのギャラリーが集り、有楽町の東京国際フォーラムにて「アートフェア東京」がスタートしました。日本のアートマーケットに適応した、古美術・工芸、日本画・近代洋画から現代アートまでの美術品が一堂に会する独自のスタイルが、本物のクオリティーを求める多くの人に受け入れられ、2007年からは「アートを観るからアートを買うへ」をコンセプトに、時期を4月に移し毎年開催されています。

現在、アートフェア東京は、国内外の選りすぐりの一流ギャラリーが100軒以上集まり、期間中の来場者が4万人を超える日本最大のアートフェアとして多くの方に広く認知されております。


アートフェア
アートフェア会場


アートというと皆さま、思い浮かべるのは様々かとは思いますが。
アートを楽しむ要素の1つとして「アートを所持する」と申しますか。アートを購入して生活の1部として取り入れるという楽しみがあります。
管理人の私感としては、日本ではまだ「所持する」「生活の1部に取り入れる」といったアートの楽しみ方は江戸時代以降の茶道等の文化にはあったものの、西洋アートから近代アートに関しては欧米と比較して一歩遅れてしまっているのではないかと思っております。
そんな中、アートフェア東京へは「アートを買うへ」というコンセプトに共感し、足しげく通っています。

さて。今回のアートフェアでは、天野喜孝作品が3点展示されていました。
展示をしていたのは香港のギャラリーであるArt Statementsさんです。

ドミニク

Art Statements代表、Dominique氏と天野喜孝作品

次回はArt Statementsさんのご紹介を含め、天野作品の購入・所持についていくつか取り上げてみようと思います。

Art Statements
アートフェア東京公式

khirakaw at 22:12|PermalinkComments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ!イベント情報